女性ゴルフの服装にはこんな歴史があったなんて・・・
アメリカ初の正式なゴルフコースが誕生して間もない明治26年(1893)、ニューヨーク州サザンブトンにあるシネコックヒルズGCに9ホールの女性専用レディースコースが完成した。このとき対応しきれないほどの入会希望者が殺到し、女性のゴルフ熱に火がついた。それは、陽気なアメリカ人をたちまち虜にしたゲームでありながら、初期にはどのクラブでも上流階級の男性のみが入会を許され、女性には門戸を閉ざし、ゲームを享受していたからにほかならない。
翌年、シネコックヒルズで初の女子クラブ選手権が開催され、アーニー・フォード夫人が「48・46」のトータル「94」で初優勝を飾った。特筆すべきは、アメリカにゴルフが上陸してまだ日が浅いというのに、たちまち100を切る女性が出現したということである。しかし、大西洋を渡ったゴルフの広まりはゲームばかりが先行し、ルールとマナーを学ばずに勝手きままにプレーした混迷の時代、いまの日本とよく似ている。
昭和9年(1934)に刊行されたヘレン・マクドゥガル著「マナー読本」の中に初めて「魅力的な女性ゴルファーのために」と題し、急増した女性ゴルファーへの警句をヘレン女史は次のように記している。「人生の中で、ゴルフとめぐり合えたあなたは幸せです。いま、知的女性の3人に1人はゴルフに関心をもち、ゴルフを始めようとしていますが、問題は人柄がすっかり見えてしまうゲームだけに、いかに振る舞うか、優雅なるマナーこそプレー以上に求められる重大事なのです。女性は、まずマナーです」
ヘレン女史が76年前に書いた内容は、いま読み返しても立派に通用する訓話にあふれている。たとえば、「決断力に欠け、自立心に乏しい人ほどプレーが遅いものです。自分のことしか考えないエゴがスロープレーを生みます。コースでは他人を待たせてはいけません。プレー中、クラブハウス内を問わず、絶対に大声を上げてはなりません。教養ある女性は嬌声など張り上げないものです。クラブハウス内では、隣のテーブルに届かない程度の静かな声で会話します。これはレストランなどでも同じことが言えます」
さらに、「服装は、その人の内面を映し出すカガミです。品性のいやしい人は、いやしい服装に平然としています。着るものには細心の注意を払って上品さを演出してください。結局、ゴルフというゲームは下品な人に似つかわしくないのです」と、手厳しい。とくに、この最後のくだりで思い当たる人々は打ちのめされたようだが、とにかく覚えたてのゴルフがおもしろくて堪らない時代であった。